今日の四字熟語は
本末転倒(ほんまつてんとう)
ダイエットして健康を損ねたら本末転倒
メディアに登場するタレントやモデルなどの中で、人々の理想や憧れの的となっている人の多くは痩せ型だ。
特に女性にとっては「痩せる」ということが外見的な美しさの重要な要素になっている。
ダイエットは歴史的に中世のルネッサンス時代まで、男性のものとされていた。
男性は自分の意志で太ったりやせたりできるとされたが、女性は受動的で自分の身体をコントロールできないと考えられていたからだ。
しかし近代に入って、食糧事情がよくなり、体格もよくなり、女性のダイエットが生じた。
特にアメリカ人は、食物の生産が豊かであったこともあり、非常に大食。
そのため、消化不良、胃の重苦しさに悩み、それを解消するために、内と外の両面から消化を良くし、軽やかな身体を取り戻そうとした。
ところが、その方法には無理があったのだ。
外見は痩せたかもしれないが、健康を維持できなかったのである。
これでは本末転倒である。
なぜなら、目的はダイエットかもしれないが、結果的に病気がちになったり、リバウンドしたり、散々な結果になってしまったからだ。
スリムになるためのダイエット
大食は肥満になるから悪とされ、スリムになるためのダイエットがあらわれた。
消化剤や消化にいいとされた民間の薬草がそのままダイエットに使われた。
また、この頃から節食も行われるようになり、ダイエットのために水分を取るか取らないかが問題になった。
朝食を抜き、一日二食にするといったダイエット法がアメリカの女性の間で流行ったのだ。
スリムから美しさを求めるダイエットへ
美しさを求めるためにダイエットをする人は多い。しかし、そのために健康を損ねてしまうのは本末転倒だ。
最近では、単に外見的な美しさだけでは本当に美しいとは言えず、肌はボロボロ。
からだの中身まで美しくあることで初めて本当の美を達成できるという「健康」に重点をおいた志向が生まれてきた。
日常的によく耳にするようになった「血液サラサラ」、「血液ドロドロ」という言葉は、からだの中身を考えて健康でありたいと思わせる格好の表現の一つであると思う。
★今日の四字熟語は★
本末転倒(ほんまつてんとう)
「本末転倒」とは、「本(もと)と末(すえ)を転倒させる」という読みそのままの漢字で構成された四字熟語です。
「本末転倒」という文字から考えられるのは、目的と手段を取り違えていて、物事で大切な部分と瑣末な部分を取り違えることを意味します。
「本末」は根本的なこととその枝葉。
「転倒」はひっくり返すこと。「転」は「顛」とも書きます。
<「本末転倒」を使った例文>
・売上を増やしても利益が減っては本末転倒でしょう。
・学費を稼ぐためにアルバイトをするのはいいが、そのために大学の授業をおろそかにするのは本末転倒ではないか?
用例:飲み水を削ってまで耕地を開こうとのお考えは、本末転倒ではありますまいか。(杉本苑子『玉川兄弟』)
このように、本末転倒とは「大事なこと」と「ささいなこと」を取り違えた状況を表す言葉として使います。
つまり、「大事と小事を取り違えること」という意味です。
あとがき
世間では、本末転倒な言動を聞くことが多々あります。
しかし、他人に対して「あなたの行動は本末転倒です」とはなかなか指摘できないものです。
仕事上、優先度の付け方が間違っているというのはかなり致命的なのですが‥
そのため、仕事で頻繁に使うというよりも、日常生活のほうでよく使える表現だと思います。
したり顔で「本末転倒だ」と言っても「持論の浅さを露呈するはめになりかねない」という、簡単なようで使い所が難しい言葉ですね。
議論が白熱した挙句、主題そっちのけで個人や組織(派閥)攻撃に向かうのも、これまた本末転倒になってしまいます。