己の心の弱さに負けない~八風不動

happuu-hudou八風不動

夜空に現れたお月さん、

あなたはそのお月さんからの言葉を聞いたことはありますか?

それは‥八風不動

「風が吹いても変わらず天にかがやく月のように、煩悩に振りまわされずどっしりとかまえよ」という風に解説されることが多い言葉。
次の解釈をすることもできます。
「欲得や不安に惑わされると見失いがちだけど、真実は良くも悪くも天の月のように変わらずそこにあるからちゃんと向き合いなさい」と。

★今日の四字熟語は★

八風不動(はっぷうふどう)

競馬騎手の武豊さんが人生訓として比叡山延暦寺のお坊さんから頂いた言葉です。

「八風吹不動天辺月」
八風吹けども 動ぜず 天辺の月」という読みます。

人生には八風が渦巻いている。
利益が出たとき、損をしたとき、人前で褒められたとき、けなされたとき、苦や楽があったときなど、
どのような風が吹こうとも天に輝く月のように、清々と生きようと説く。
自分を見失いそうになったときは、天の月の視点から覚めた目で眺めれば、出来事を冷静に受け止められる。

この漢詩は、中国の寒山詩。
「悪い風は吹き過ぎるままにまかせて、自分を信じて歩き続ける。
どんな風にも動じず、たじろがず、天空の月のような不動心を持て」という意味が込められています。

「八風」とは、「利・誉・称・楽・衰・毀・譏・苦」の風。
「八風」とは、こうあってほしいという四つの欲、「四順(しじゅん)」と、
避けて通りたいという四つの欲「四違(しい)」を指しています。

hapuu-hudou3八風不動

 四順 (人が求める四つのポジティブな面)

「利」(うるおい)・・目先の利欲にとらわれる姿
利風(自分の利益ばかりを考えてしまう)

「誉」(ほまれ)・・・名聞名利にとらわれ、我を忘れた姿。
誉風(名誉ばかりを追い求める)

「称」(たたえ)・・・賞賛されて増上漫になり、自分を見失うことをいう。
称風(褒められて増長する)

「楽」(たのしみ)・・享楽に負けてしまった姿。
楽風(快楽ばかりを追い求める)

 四違 (人が避ける四つのネガティブな要素)

「衰」(おとろえ)・・老衰や生活に破れた姿
衰風(スランプに陥る)

「毀」(やぶれ)・・・他人に批判されて自己の信念を変えてしまう姿
毀風(悪口ばかりを気にする)

「譏」(そしり)・・・他人からそしられ、自分を見失うことをいう。
譏風(批判ばかりを気にする)

「苦」(くるしみ)・・人生の苦境に負けてしまった姿。
苦風(逆境に負けてしまう)

「八風不動」とは、
「どのような逆境、妨害、自らの心の弱さにも煩(わずら)わされる事なく、己(おの)れの道を進むべきである」という意味の教訓です。

人間が生まれつきもっている仏心、仏性は、本来の世界から考えれば、
どんなに煩悩の嵐が吹いたとしても消えてどこかへ行ってしまうとか、汚れてしまったり壊れてしまうことはないのだ。

あとがき

ジョッキー武豊さんの座右の銘とされる「八風不動」、
人生訓にして、意味は深く素晴らしい。
勝負師にとって、意味はさらに深く重くなる。

どんな事態にあっても動揺せず、平常心を失わないようにしなければならないという教訓になります。

天才と呼ばれ、これまでの日本の競馬界の記録をことごとく塗り替えてきました。

これまで順風満帆に来たように見える武豊ジョッキー。

けれど、実際には、スランプあり、落馬事故あり、順風ばかりではありません。
そうした中でも、自分を見失わず、前向きに競馬に取り組めたのは、この「八風不動」との言葉があったから。

これは、比叡山延暦寺の千日回峰行を二度、成就させ、大阿闍梨(だいあじゃり)
と呼ばれる酒井雄哉(ゆうさい)氏から、贈られた言葉だそうだ。


  • このエントリーをはてなブックマークに追加

関連記事

アーカイブ

ページ上部へ戻る