★この四字熟語の意味は★
満場一致(まんじょういっち)
その場にいる全員の意見が一つにまとまること。
全員、意義のないこと。
「満場」は全体やその場にいる全ての人。
「一致」は意見が同じになること。
<用例>
・東京五輪の追加種目は満場一致で承認された。
・選考の結果、満場一致で彼を代表とすることに決定した。
・今回の作品は満場一致で審査委員賞が決定された。
満場一致で決まるとき
満場一致には、次の2種類の状況があります。
- 何も話し合われていない満場一致
- 精査した上での本当の満場一致
【自分から見て他人ごとの場合】
例えば、新規事業にチャレンジしようという場合、他人ごとですと、あえて反対意見を出して上司や同僚の心象を悪くするリスクは負いたくないので、最初から満場一致の意見が出る可能性が高くなります。
しかし、これが自分に影響することであればどうなるでしょう?
【自分ごとに落とし込んだ場合】
「新規事業にチャレンジしたいが、成功すれば給料も10パーセントアップ出来る。しかし失敗すれば10パーセントの給料カットを覚悟してくれ。」だった場合、満場一致で可決されるでしょうか。
テーマが決して他人ごとではなく、自分のこととして捉え、真剣に考え、言いたい意見を言うはずです。
満場一致の裏には、何も話し合われていない満場一致と、精査した上での本当の満場一致があるということを認識しておきましょう。
異論のない満場一致はダメ
ワンマン経営やトップダウンといった組織の上層部が意思決定をし、その実行を下部組織に指示する管理方式では、部下は意見を述べることなくトップの言うことに従うだけになります。
健全な時はいいですが、道を外れたり業績が傾いたりした場合には非常に危険です。どんな状況であっても物申す存在が必要です。
トップを助ける人たちの多くは「トップがこう言ってるから」という一点張りになりかねません。自ら考えることをしなくては、トップの本当の意図や誤りに気付くことができないのです。
一方、トップやリーダーは耳が痛いことを直言するご意見番を排除しないように気をつけなくてはなりません。何も言われなくなったのは自分が優秀になったこともあるかもしれませんが、「言っても無駄」と思われてしまうと、誰も言ってくれなくなるものです。
トップ企業の中には「すんなり満場一致した事業や企画は採用しない。異論が出たものこそ発展させる」という考えをもつところがあります。その理由は、異論の出ない満場一致では皆が安心しきってしまい問題点に気付けないという考えがあるからです。
何の異論もなく同調する場合は、聞き流していないか「どの辺が特に賛成する点か」と質問してみるのもいいかもしれませんね。
「満場一致」の言葉に対しての『素朴な疑問』
【会議出席者が一人でも満場一致になるの?】
議決権を持つ人の出席が一人のみであった場合、正式には「満場一致」ではなく、「出席者一人の賛成票が議決として採用される運びとなった」などと考えるのがいいでしょう。
【良いも悪いも満場一致という言葉は使えるの?】
満場一致という言葉は、良い結果の時に使うのでしょうか?それとも、悪い結果の時にも使えるのでしょうか?
「満場一致で否決」という例もあるので、良いも悪いも両方に使えます。
満場一致と全会一致との違い
よく似ている言葉で「全会一致」があります。
どちらもよく似ていますが、ふさわしい使い場所が微妙に違うように思われます。
他にも認識の違いがあるかもしれませんが、解釈の仕方は以下のとおりです。
満場一致
会議や集会などの場で、厳密な決め方はしないが、賛成の人の拍手などで、反対の人がいないのを大まかに確認したときに使われます。
例)承認される方は拍手を願います‥‥パチパチパチ‥‥本件は満場一致で承認されたものとします。
全会一致
賛否の数によって物事を決める会議の場で、全員が同じ意見だったときに使われます。
例)採決の結果、議員◯◯名中、賛成=◯◯、反対=0、保留・棄権=0でした。よって本件は全会一致で採択されました。
あとがき
会議が終わって、みんなでラーメンでも食べに行こう、という話になりました。
「おお、行こう行こう!」
「Aというラーメン屋さんが美味しいらしいよ」
「Aというラーメン屋さんが美味しいらしい」という1つの漠然とした選択肢があって、全員がそこで良いという判断になった場合、みんなでラーメンを食べに行こうとします。
ところが、そこに「ごめん、僕は豚骨ラーメンは苦手で、あっさり醤油ラーメンが好きなんだ」となると、状況が変わってきます。
満場一致だったものが、自分のこととして考えてくると、意見をはさみたくなってきます。これは会議に限らず、ラーメンにも及んでくるのですね。
表面的には全員の意見は一致していたはずなのですが、詳細な話になってくると、満場一致ではなく、店の選択問題になってきたのです。