今日の四字熟語は
泰然自若(たいぜんじじゃく)
2019年9月9日(月)、想定外に危険な台風15号が千葉県に上陸。
それは日本地域に訪れる台風のなかで、実に思いがけない災害となった。
関東地方を予想を遥かに超える暴風雨が襲った。
屋根瓦が飛び、大木がなぎ倒され、倒木が電線にのしかかり、特に千葉県地域は大停電にみまわれ、その復旧に予想以上の時間を費やすことになったのだ。
災害に襲われつつも、泰然自若とした行動を取りたいのだが、一夜明けて周りを見渡したとき、その被害を見て呆然とした。
★今日の四字熟語は★
泰然自若(たいぜんじじゃく)
「泰然自若(たいぜんじじゃく)」とは、
想定外の何らかの問題が発生しても、とにかく落ち着いて冷静に行動することが大切であるということ。
これはある意味、経験がものをいうところもあるので、若い人よりも年長者に使われることが多いです。
「泰然」は、落ち着いて物事に動じないさまを表わします。悠然としていて動じないこと。
「自若」とは、常と変わらぬ、平常と少しも変わらない様子をいいます。
「泰然自若」は「泰然」が落ち着いている様を表し、「自若」が何に対しても慌てず、驚かず、落ち着いているさまを表すので、これら「泰然」と「自若」の二語を重ね、どのような事態に出あおうとも、落ち着きを失わないということを強調した四字熟語です。
<使用例>
あなたったら、あんまり愕(おどろ)かない性質(たち)ね。泰然自若たるものね。『愛の渇き』三島由紀夫
この分でいると、教場内へ乱入し兼ねまじき勢いに見えましたけれど、与八は泰然自若として驚きませんでした。『大菩薩峠』中里介山
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類語に「神色自若(しんしょくじじゃく)」があります。
「神色」とは顔色や態度のことです。
何があっても平常心を失わない、内心や見た目が落ち着いていて、物事に動じない様子を表す言葉です。
前向きな気持ちを失わないように、覚えておきたい四字熟語です。
台風15号の状況で泰然自若になれるか
気象庁によると、9月9日の未明に千葉市付近に台風が上陸。
午前4時半ごろに千葉市で最大瞬間風速57.5メートルを観測した。
市原市では9日午前10時までに約300ミリの降雨を記録。
記録的な暴風雨となった。
君津市では送電線をつなぐ鉄塔2基が倒壊。各地で電柱が倒れ、停電が相次いでいた。
「特急電車」並の速さで、屋外での行動が「極めて危険」なレベルの猛烈な風だった。
このような悲惨な状況の中で泰然自若になれるか?
また、「台風一過の猛暑の中、エアコンが使えない状況が続いている地域もある。
二次被害として熱中症の危険性も高まった。
さらには、一部のコンビニやスーパーでは冷蔵庫・冷凍庫が機能していない店舗があり、食糧事情が悪化していた。
交通網への打撃も深刻だった。
10日午前5時30分には、JR横須賀線では横須賀~衣笠間で冠水。
久留里線では東横田駅、横田駅で屋根が損傷した。
陸の孤島と化した成田空港
在来線は運転見合わせ、高速道路も通行止めのためリムジンバスも運休した。
9月9日朝から到着した乗客らが出られず成田空港は「陸の孤島」となった。
着陸し、在来線やバスの運休について知った人々には諦めムードが漂い、係員に食ってかかるような人はいなかったという。
成田空港ではこんな会話が‥。
「並べば電車に乗れますか?」
「絶対無理、やめときな」
「どうしたらいい?」
「わからない。いまのところ日本語わかる俺にもわからない」
成田空港が教えてくれたこと
第2ターミナルへ着くと、地獄だった。
人、人、人。あらゆるところに人垣ができていた。
19時すぎ。
第2ターミナル4階のレストラン、売店フロアに向かった。
「え、嘘でしょ」
笑った。マクドナルド、銀だこ、そしてセブン-イレブンまで、長蛇の列ができていた。
コンビニの店員さんが「もうお釣りの10円玉がないぞ」と別のスタッフに耳打ちした。
並んでいる人たちより、仕事として向き合ってる分、その表情には切迫したものがあった。
空港側からの情報提供のなさは、日本人にとってもキツかった。
「空港から出る方法」を集約した情報が欲しかったが、空港側から何もなかった。スマホを使って、自分で検索するほかなかった。
まともにタクシーの列に並んだら、それこそ翌日の始発まで時間がかかるだろう。
ならば出発ロビーで、という単なる思いつきから生まれた作戦で、若干少ないタクシーの列に並んだ。
5台目くらいだっただろうか。「浦安までなら行けるよ。ただ3時間はかかるね」。
ようやくだが、タクシーが見つかった。料金はいくらかかるかわからないが空港で知り合った人との相乗りだ。
車窓から見える暗闇の中、いつもなら絶対に歩く人の姿なんてありえない道に、バックパックをかついだ人が列をなして歩いていた。
あ、これ見たことあるぞ、と思った。
3.11の時だ。2011年3月11日。
甲州街道沿いに、見渡す限り人の列が歩いている、あの夜の風景だ‥。
千葉の「ホテル三日月」が大浴場を無料開放
台風15号で甚大な被害を受け、いまもおよそ46万戸で停電が続いているとき、
「ホテル三日月グループ」(本社・千葉県勝浦市)が停電した地域の住民を対象に大浴場の無料開放を実施した。
初日には1000人を超える人たちが訪れたという。
「地域の方々があって私たちもある。
一緒にがんばっていかないといけない、このピンチを乗り越えないといけないとの思いで、いま私どもができることが何かを考え、無料開放を決めました」
「この猛暑で電気が使えないと、精神的にも身体的にも堪えるものがある。」
また、鴨川市ではその他のホテル、旅館でも無料開放を実施した。
あとがき
台風15号が去ったあとの復旧がままならないまま、さらに来る台風18号。
風雨で屋根のない民家には雨が容赦なく降り注ぐのを見たときの住民の気持ちはいかばかりだろう。
こんな非常時に、泰然自若たる冷静な行動が自分にできるだろうか。