★この四字熟語の意味は★
一意専心(いちいせんしん)
ほかのことには目もくれず、ひたすら一つのことに心を集中すること。
自分が決めたこととだという強い意志が感じられる言葉です。
「一意」とは、一つのことだけに心を注ぐこと
「そのことだけに一途に」、「わき見をせずに」、「自らの信念に基づいて」という意味です。
「専心」は、余計なことを考えないで、ひたすら一つのことに心を集中すること
「意を一(いつ)にし心を専(もっぱ)らにす」と訓読します。
「専心一意」とも言います。
出典は『管子・内業(ないぎょう)』
『管子』は春秋時代に、齊の政治家『管仲(かんちゅう)・名は夷吾(いご)(BC730頃~BC645)』の偉業をまとめられた書です。
口語訳すると
「四体が健全で、体内の血気が安静であり、意を一つに集中し心を専一にして、耳や目の感覚器官が乱されなければ、
遠くにあるものでも、身近にあるもののように明確に得ることが出来るのである」となります。
「一意専心」によく似た言葉
色んな言葉を知っていると、本当の思いを人に伝えることができます。
「一意専心」によく似た言葉ですが、少しずつ意味合いが異なっています。
自分の気持ちを的確に表現できるのはどの言葉か、考えてみると楽しいです。
「一心不乱」:あわてている様子がうかがえます。
「一生懸命」:必死で取り組んでいる様子がうかがえますが、「一意専心」のほうが、1つのものに対する、より強い意志が感じられます。
「無我夢中」:ほかのものは何も見えなくなっている状態です。
どの言葉でなら言いたいことが一番伝わるのか、日本の言葉は奥が深くて、人情の奥深さに有り難みさえ感じられますね。
<用例>
・一意専心の気持ちを忘れず、日々練習に励んでいきます。
・武蔵は前戯ということを、いまだ試みたことがない。 彼の行為たるや、真一文字に直接的であり、ひたすら一意専心で、猛烈に物理的だ。 『忍者六道銭』山田風太郎より引用
・ああ、わたしは、又わきめをふらず、一意専心に、このセザンヌ風プラス明日という文章をかきたいわ。『獄中への手紙』宮本百合子より引用
彼女が夢中になったサッカー
サッカーは少年たちだけのものではない。
少女たちをも夢中にさせるのがサッカーだ。
彼女がサッカーと出会ったのは高校1年生の春。
中学時代に好きだった男の子が、サッカー部に入ったのを機に自らも入部を決意した。
サッカーに興味をもつ発端はこんなもの。
しかし、彼女は次第にサッカーに夢中になっていった。
最初は「横にパスを出したらオフサイドやと思っていました」というサッカー音痴。
しかし、何冊もの入門書・専門書を読み漁り、部員の誰よりもサッカーが詳しくなった。
自分はサッカーで何を得たいのか?
夢は何なのか?
そのために何をしなければならないのか?
サッカーと俺、どっちが大事なの?
「サッカーと俺、どっちが大事なの?って、フラれた事もあります」。
そう微笑む顔はすっぴん。ジャージなのも化粧っ気がないのも、グラウンドは彼女にとっての聖地だから。その格好でなければいけないのだ。
部員数は23人。とにかく勝てない。
勝てないから、上級生と下級生が喧嘩を起こし、大量の退部者が出たこともあった。
応援団なんているはずもなかったが、一意専心、何とか力をと、彼女は保護者の一人ひとりに応援をお願いする手紙を書いた。
その奮闘も空しく、チームは敗戦。
それでも、彼女は自らが書いた手紙のおかげで、わずかながらも応援に来てくれた保護者の姿が嬉しかった。
チーム唯一のマネージャー。最後の挨拶も、「カッコいい事、泣かすことを言おうとしたんですけどね。残った子らの事が心配で、『洗濯大変やけど頑張って。洗剤は入れすぎたら色落ちするからダメやで』としか言えなくて(笑)」
彼女のように些細なきっかけでサッカーに触れ、好きになる。そんな人を作ることも高校サッカーの役割であり、懸命にボールを追いかける少年たちと、彼らを支える少女たちの”今”も大切なのだ。
<あとがき>
8月、全国高等学校総合体育大会(通称インターハイ)が開幕する。
サッカー競技は女子が東京都で、男子が山梨県で行われるこの大会、男子は炎天下で7日間に6試合をこなす過酷な大会です。
開催県の出場枠は「+1」となるため、冬の全国高校サッカー選手権大会よりも多い55校が日本一の座を争う。
報道量、注目度が寂しいこの大会ですが、ピッチから伝わる想いは熱い。
私たちが見ている世界、知っている世界はほんの一部に過ぎない。
彼女のように些細なきっかけでサッカーに触れ、好きになる。そんな人を作ることも高校サッカーの“いいところ”だと思う。
将来の日本代表選手といった大きな”未来”だけでなく、未来へ向かうための一意専心がとても大切なんですね。